2007年03月30日 00:12

ジャンル: [ビジネスハウツー

高橋淳二

ユナイテッドアローズ 心に響くサービス(丸木伊参著)

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出版社:日本経済新聞出版社

定価:1,400円+税

発行日:2007年1月

「我々が作りたいのは優良企業ではない、不滅の商店である」

「我々が行っているのは事業ではない、正しい商売である」

「我々は会社員ではない、創造的商売人である」

(P.40より引用)

商業・流通業の専門出版社である株式会社商業界の代表取締役を経て、現在はさまざまな執筆や講演活動をされている丸木伊参氏による1冊。ファッションセレクトショップとして全国展開をはかり、2011年の売上で1000億円を目指すという「ユナイテッドアローズ」(以下UA)の接客について書かれています。発行は1月ですが、面白かったので。

本文は全部で6章に分かれています。UAの質の高い接客サービスについて、接客を支える理念について、そのような接客を可能にさせる人材採用・研修について、UAにおける販売員の位置付けについて、接客レベルを保つためのチェックシステムについて、そしてUAという企業の成長の軌跡。

このうち「OPEN MIND」は、UAが重視するスピリッツの一つである。

(P.48より引用)

第2章ではUAの志をまとめた「理念ブック」について詳しく語られます。ここに明文化されている内容の、何と原則的かつ高レベルであるか。「もし自分がお客様だったら『ここまで』されたら感動する』と思うことを誠心誠意実行し、『こんなことは絶対されたくない』と思うことは絶対してはならない」とうたい、サービスとは只それだけのこと、そしてそれが自分たちの務めだと続くのです。

では、そのためにはどんなスピリッツが必要か。具体的なものとして30項目が列記されているそうですが、例えば「OPEN MIND=まずは一旦、すべてを受け入れる」ことで何事もよい方向にも導けるようになっていくとのこと。同様に「NO EXCUSE=言い訳するな」も、自己を磨く上で大切なスピリッツとなっているようです。

…(前略)苦情・クレームには三つの傾向がみられるという。

1. ターミナル店など客数の多い店で発生する

2. 店長のマネジメントが弱い店で発生する

3. 顧客が販売員にいいづらく直接、相談室へ連絡が入る

である。

(P.160より引用)

UA原宿本店をよくのぞきに行くからってこともあるけれど、この本は自分にとって非常にリアリティの感じられるものでした。その最大の理由は、著者もあとがきなどで書いているとおり、「UAが完璧で最高のサービスを行っている」という視点で書いているわけではないから。特に多くの店舗スタッフが自分の失敗について語る内容は、仕事のジャンルを超えて「たしかに…」と思わせてくれるものばかりです。

本の中では「サービス7割、商品3割」という言葉が出てきますが、IT全盛の現代において「ご近所のちゃんとした商店こそが目指すべき姿である」という地道な考えで一歩ずつあゆむことにより、わずか10年ほどで売上1000億円という巨大な結果を実現するのは十分に可能なのだとUAは教えてくれているわけです。

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この記事へのコメント一覧です:

ユナイテッドアローズのターミナル店舗に会社帰り等、よく立ち寄ります。その店はカジュアルエリア、フォーマルエリア、小物エリア等エリア毎に担当が決まっているらしく、よく行く関係で顔を覚えられ、時々必要に応じ情報収集を兼ねスタッフと会話しています。押し付けることもなく、彼らが持っているものをストレートにぶつけてきてくれ、買わなくてもすごく楽しめる場所です。「サービス7割、商品3割」といった言葉を引用されていますが、そういったサービスを提供できる企業姿勢に共感を覚えます。

hedge (2007年06月18日 20:35)

hedgeさん、コメントありがとうございました! UAによく行かれるのですね。僕も何となくUAに行ってしまうのは、さりげなくではあるけれどもしっかりと提案をしてくれるスタッフの方々がいて、それが心地よいからなのですね。hedgeさんのコメントで気づきました。ありがとうございます。
ブログの更新が滞っていて恐縮ですが、更新を再開していきますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。

高橋淳二 (2007年06月18日 20:56)

Trackbuck

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