2007年09月10日 20:06

ジャンル: [ライフスタイル論

高橋淳二

芸術脳(茂木健一郎)

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出版社:新潮社

定価:1400円+税

発行日:2007年8月

内藤 いちばん厳しい状況にあっても美しいものを感じるというのは不思議なことだと思う。以前「なにもいえないときも、ただ美しいといえた」という一文を書いたことがあるんだけど、ずっと思っていることなんですよ。美しいというのは、もちろんただ単に色がきれいとか形が美しいということじゃなくて、いちばん美しいものは人間の心の中にあると思うから、美術っていうのは、ではなんだろうということになるのかもしれない。人の心の中の美しいものを見つける仕事とか生活ができたらいいんだけど。

(P.26より引用)

フリーペーパー『dictionary』に掲載されていた、茂木健一郎氏と10人のクリエイターとの対話集です。佐藤雅彦さん、内藤礼さん、小野塚秋良さん、いとうせいこうさん、松任谷由実さん、ヒロ杉山さん、リトル・ブリテンさん、菊地成孔さん、天野祐吉さん、リリー・フランキーさんとの対話。冒頭の引用文は、アーティストの内藤礼さんのひとことです。

松任谷 ダメだなあ、茂木さん(笑)。西城秀樹さんの「ギャランドゥ」って歌があって、そのときの決めポーズと西城さんのかすれた声が妙にマッチして、へそ毛のある男性を「ギャランドゥ」ってあっちこっちで言ってたら、いつのまにかどんどん拡がっていたんですよ(笑)。西城秀樹さんもそのことはたいそう喜んでくださっているんですけど(笑)。

茂木 えーっ、全然知らなかった!

松任谷 あと、「爆睡」って言葉ももともと私が使い始めたんですよ。

(P.88より引用)

すべての対話が面白いです。対話が始まった途端、相手の言葉を階段にしながら2人でテーマに向かって駆け上がっていく感じ。その駆け上がり方も、それぞれが独特のリズムがあって、そのようすを観ているだけで観客である自分がすごく刺激を受けるという感じ。

菊池 中途半端なものっていっぱいありますよね。1/fのゆらぎだとか、フラクタルだとか、マイナス・イオンだとか(笑)、中間項依存みたいなさ(笑)、いっぱい研究されてますよね。ここ20・30年研究されている。その行き着く果てにはなにがあるんだろうって思うんです。

(P.151より引用)

もともと僕は対話集が大好きなのですが、この本は、「対話というのはこんなにすごいものなのか」ということを改めて実感させてくれます。この密度の濃さは、茂木氏の質問やリアクションが素晴らしいからなのですが、そのベースとなる桑原茂一氏のプロデュース眼にも感嘆させられます。読み終えて「この人たちの対話を聞いてみたかったんだよね」という“潜在的な願い”が叶ったような気分になれるのです。

フリーペーパー『dictionary』を始めとしたCLUBKINGのさまざまなコンテンツについての情報は、mediaCLUBKING(http://www.clubking.com/)でチェックできます。Podcastで対談や鼎談、コメディなども楽しめるのでぜひ見てみてください。

Comments

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この記事へのコメント一覧です:

再開されましたね。
楽しみにしてます!

(´ー`)y-~~ (2007年09月15日 16:25)

(´ー`)y-~~ さん、いつもありがとうございます。
再開しました。よろしくお願いします。

高橋淳二 (2007年09月16日 19:05)

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